2007.09.15
「なんばパークス」が全面開業、ここはやはり南海のマチ、「難波」。
キタ(梅田)と並び称される大阪の中心、ミナミ(難波)。
梅田が「全国区」の拠点であるのに対し、どちらかと言えば「関西ローカル」のイメージが強かった難波が今、大きく変わろうとしている。
その象徴とも言えるのが、今年4月に全面開業した「なんばパークス」だろう。
「なんばパークス」は、南海難波駅の南側、旧大阪球場跡地を中心に南海グループがまさに「総力を挙げて」開発に取り組んだ一大複合開発だ。超高層ビルと奇抜な形状のショッピングモールなどで構成される「なんばパークス」は、クラシカルで荘厳な外観の南海難波駅、その背後にそびえる近代的な超高層ホテルと並び、難波の「新しい景観」を形成しつつある。
語弊を承知で言わせてもらえば、そもそも難波は「南海のマチ」だ。
もちろん、難波には地下鉄3路線、近鉄線、JR関西線(旧湊町駅を「JRなんば」に改称)が乗り入れており、2009年にはいよいよ阪神線も乗り入れる。
しかし、「景観」という点では、地上に巨大なターミナル駅を「鎮座」させているのは、南海だけである。他所から来た人が、初めて難波を訪れたとき、ここは「南海難波駅前」に開けたマチ、という印象を持つだろう。
孤高の超高層ビルが建つ「天王寺」は、東京で言えば池袋か?
大阪市南部には、難波以上に「関西ローカル」なターミナル駅がある。
JR阪和線などのターミナル「天王寺」駅と、その真向かいに並ぶ近鉄南大阪線などのターミナル「阿部野橋」駅だ。
天王寺界隈は、梅田・難波に比べ、確かにマチとしてのボリュームは小さいかも知れない。それでも、ここが梅田・難波に次ぐ「大阪の拠点」であることに揺るぎはないだろう。
実は最近、ここ天王寺でも、マスコミを賑わす大きなプロジェクトが発表された。
現在、近鉄百貨店が入居している阿部野橋駅ビルを改築し、高さ日本一の複合タワービルを建設すると言うものだ。もちろん、事業の主体者は近鉄グループ。阿部野橋は、近鉄では最大のターミナル駅だ。近鉄グループとしては、今後も開発計画が目白押しの難波や梅田に対抗する、と言うことなのだろう。
いずれにせよ、数年後には「孤高の超高層ビル」が天王寺に建つことになる。孤高の超高層ビルが建つターミナル、と聞いて「池袋」を思い浮かべる人も多いのではないか?
でも、やはり何かが違う。
語弊を承知で言わせてもらえば、ここは「近鉄のマチ」だ。
地図上では「中間駅」、その姿形はまさに「ターミナル駅」の上本町。
近鉄のマチ、という点では、実は天王寺以上に近鉄色の強いマチがある。
近鉄上本町駅。
地図を見る限り、ここは「難波」をターミナルとする近鉄線の「中間駅」でしかない。しかし、実際にこの駅に降り立ってみると、ここがターミナル駅以外の何者でもないことに気が付くだろう。事実、1970年に近鉄線が難波まで延伸されるまでは、ここは「本当のターミナル駅」だった。現在でも、この駅には行き止まりのホームがいくつも並び、ここを始発駅・終着駅とする列車も少なくない。確かに、実質的なターミナル駅の機能は難波に移っているようだが、駅ビル自体は百貨店などが入居する大きな建物であり、景観上はターミナル駅独特の風情が充分に感じられる。往時を偲ばせる、と言ってもよいかも知れない。
もっとも、マチのボリュームという点では、梅田、難波、天王寺には遥かに及ばない。近鉄沿線以外の人には、あまり馴染みの無いマチであろう。
しかし、中間駅でありながら、形状は立派なターミナル駅、という景観もまた、上本町固有のものであるように思う。東京で言えば(何でも東京と比較するのは気が引けるが)、かつての両国駅と言ったところか。
なお、ここ上本町でも、近鉄劇場跡地を再開発し、複合ビルを建設する計画が進んでいると言う。実質的なターミナル機能を難波に譲って久しいこのマチががどこまで「復権」するのか、注目される。
これぞ大阪固有の景観、大都会の中のローカル駅「汐見橋」。
最後に、大阪市南部のターミナル駅で、文句無しに「固有の景観」と言える場所を見つけた。
難波から地下鉄でわずか1駅、「大都会」の片隅にひっそりと生き延びたターミナル駅「汐見橋」がそれだ。
この駅は、「戸籍上」は、現在でも南海高野線のターミナル駅なのだと言う。しかし、南海高野線が「難波」を実質上のターミナル駅としてからは、まさに忘れ去られた「ターミナル駅」と化している。
注意して良く探さないと通り過ぎてしまいそうな古びた小さな駅舎に入り、更に驚いた。電車の運行頻度は、日中30分に1本。大ターミナル駅・難波から1駅の、大都会の真ん中に、有りえない「景観」を発見した瞬間だった。
P R ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■